インタビュー前半では、従来からあるフライス盤や旋盤についてクローズアップ。後半では、いよいよ、今回導入された最新機種「FANUCロボドリルα-D14LiA5」の魅力と特長にせまります。
中堅の新機種たち
――今回のFANUCが導入される前の新しい機械についても教えてください
笹山)当社のフライス盤で初めて自動化されたのが、MDX-540という3軸フライス盤で樹脂加工専用の機種です。本当に良い機械で操作しやすく、頻繁に使っています。
また、積層プリンタのEDEN250は2012年導入しました。カートリッジインクを何層にも重ねてプリントし固めながらパーツを作り上げます。
それぞれ得意分野があり、今まで外に発注していたものが、自社でパーツを作れるようになった分、納期短縮につながりました。
▲【左】切削RPマシンMDX-540(ローランド社製)▲【右】3DプリンタEDEN250(ストラタシス社製)
▲上記MDX-540とEDEN250で製作されたパーツ群
最新機種 FANUCロボドリルα-D14LiA5
▲FANUCロボドリルα-D14LiA5
――今回のFANUCロボドリルα-D14LiA5についても教えてください
笹山)5軸タイプの高速、高精度、高効率の小型切削加工機です。これ一つで先に紹介したフライス盤、旋盤の役目を一気に担います。コンピュータでCADの3D図面を読みこんで、設定次第で、あとは自動で削り出しを行います。刃物は14本搭載が可能で自動的に交換、回転速度も自由に設定できます。
▲CADの3Dデータが自動で削られる
――今回、導入しての使用感はいかがですか?
笹山)これからの時代、勘や経験ではなく、図面がすべてデータとして機械に残るということがポイントですね。その保存された製品データをベースに加工が素早く容易にできるようになりました。
染谷)昔は、刃物自体も、我々の頃は、自分で刃を作っていたんですけども、現在は多様な刃が存在しますので、それで対応できるようになったというのは便利な時代になりました。
笹山)ただし、最新機種は難しい複雑な形態の物も可能で重宝している反面、データ作成には最初だけ時間がかかりますね。一方、従来のフライス盤、旋盤は、簡単な部品は早い分、せーので全ていっきに加工はできません。手動で刃を変えたり回転数を調整したりといった手間もあります。
染谷)機械屋は「段取り」が一番手間がかかるんです。2時間かけてセットして削るのは10分とか…。これからはその段取りが無くなる分、製作は早くなります。最新機種のFANUCは1回CADでデータを作ってしまえば、2回目からは早いですからね。手を動かす段取りが、2回目以降、無くなるのは大きいですね。
――こういうお仕事は器用・不器用などのセンスも関係してくるのでしょうか?
染谷)器用さよりも、どちらかといえば「好き・嫌い」の話。いかに集中できるか。大抵はあきてくる人もいるのだけれど、やってみると実は奥が深い仕事。今回導入したFANUCも、本当にこの刃物でいいのか? 回転数は本当にこれでいいのか? …等々、調べることがいっぱいあって、実はおもしろいんですよ。
――最新の機械になっても、経験と知識っていうのは必要ですよね
染谷)多少は経験は必要だけども、データとして残るのも大きいよね。従来のフライス盤や旋盤はデータが残んねぇから(笑)。
▲染谷技師長からは直々にフライス盤操作を教わった ▲笹山君は最初からセンスがあった、と染谷技師長
――フライス盤や旋盤などを知らない世代が、いきなり最新の機械をいじるよりも、より生きてきそうですね。
染谷)だと、思います。加工の方法って知らないと、どうやって始めていいか分からないと思うよ。そういった意味では、笹山君は、従来のフライス盤、旋盤の扱いも知る最後の東京技研イズム継承者かもしれないね。
――そうするとやっぱりノウハウって必要ですね。
染谷)例えば、薄い材料とか、熱によっての影響で反りが出たりする場合、それはやはり従来の機械で経験した人間でないと対応は難しいかもしれないね。なかなか絵を書くようにモノはできない事もあるからね。樹脂も生き物だと思うんだよね。
笹山)今回の機種はマニュアルも分厚く何冊もあるし、この機械の宿泊研修も山梨県であります。面白いというよりも、まだまだ不安な面も多いですよ、早く慣れないと。
▲憶えることはたくさんあります、と笹山係長
染谷)なかなかこういう機械を持ってる会社もないと思うし、考え方を変えれば、非常に恵まれた良い職場だと思うよね。実は今から40年程前に、このFANUCの前身であるTOSNIC(東測製)の初期機に携わったことがあって、今でも理屈は変わりません。中の機械の構造は分かっているつもりです。
当時作ったモノとして記憶にあるのは、旧国鉄で使用されたハートカムというダイヤレコーダーの部品。懐かしいですね。
当時は、パネルからコマンドを入力して動かしていました。制御BOXも別の筐体で独立していて、中もトランジスタで動いており配線でぐっちゃぐちゃでした。分かんないのはつながってるPCのCAD/CAMだけ…そこは笹山君に任せるとして(笑)。
――笹山さんは今こうして最新の機械の担当者になりましたが、先輩社員さんとのご関係はどうですか?
笹山)入社して16年になりますが、まだまだ昔の方々には教えていただくことは多いですね、やはり長年の技術と経験、勘の教えを乞うことはありがたく思います。
染谷)私はもともとが機械屋・加工屋で、東京技研に入ってからは組立て屋。でも組み立ての師匠ってのはあんまりいないんですけど(笑)。フライス盤も師匠はいませんでしたから、自分で何でも憶えた。あとはよその会社に行く機会があったときにのぞかせてもらって、あういう刃を使ってるんだとか、あの動きをするんだ、とか、いろいろ目で盗んでましたね、当時は教えてくれる人がいないからね。
一同)これからも今までの姿勢を変えずに、社員やこの機械たちと協力しながら、製品開発・製作を頑張っていきたいと思います。
――お話をありがとうございました。今回の取材を通して…
今回、お話を伺い、最新の機械も導入されましたが、機械に使われているわけではなく、使う側の技術と考えが、機械をより活かし、より良い製品開発につながるのだとあらためて認識しました。また、昔ながらのモノづくりに対するこだわりや道具を大事にする姿勢が、良い製品開発やスピードにもつながり、お客様に喜ばれてきたのだと感じました。
普段あまりクローズアップされない工場のヒトとモノをご紹介させていただきましたが、今回の取材を通して、当社の裏側や現場の雰囲気を少しでも感じていただけたら嬉しく思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
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